感性コミュニケーションとは何か

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はじめに

 「コミュニケーションとは人間が互いに意思、感情、思考を伝達し合うことである」と大辞林ではそう書かれている。その中の「互いに」はとても大事で、何故かというと、一方が観念や思考をただ伝えるということだけでは、コミュニケーションの定義に十分とは言えない。

  発信する送り手、受信するターゲットオーディエンス(受け手)両方考えなければならない。さらに分解してみると、メッセージ(コード)とメッセージを届けるためのルートというチャンネルもコミュニケーションに構成する不可欠な部品である。一般的に送り手により、チャンネルを介して、メッセージを送信し、受け手は正確的にそのメッセージを正確的に授受を目指しているのは理性的コミュニケーションと言われる。一方、感情や気持ちなど抽象的な情報を共有し合うのは感性的コミュニケーションとも言われるのだろう。

感性と五感

 新明解国語辞典によると、感性とは「外界の刺激に応じて何らかの印象を感じ取るその人の直感的な心の動き」と説明されている。人間は外界を感知するための多種類の感覚機能のうち、5種類と分類されている。すなわち、視覚、聴覚、触覚、味覚と嗅覚を指している。人間の感性には五感を総合的に理解、感受する特性を持っている。つまり、五感から感じ取った様々の情報を分離、整理、再構築することにより、総合的な印象を把握する一連の作業である。

性コミュニケーション

 言語はコミュニケーションのパワフルなメディアであるが、誤解や無理解があるという失敗例から見るといつでも完全に成功するとも言えない。例えば、送り手側から伝えたい意味を言葉に表現し、その言語を受け手が言語に表現された意味を理解できるのか?言語が表現する意味とは一体どんなものなのか?

 実は私たち個々人がそれぞれの知識、経験、感情などを持つ、精神の内に抽象的な情報をたくさん蓄積してある。それが「観念」とも呼ばれるが、それぞれ違う観念を持つ人の間のコミュニケーションがどうして成り立つのか?不思議に思うのだろう。  

特徴一:“非言語的”

 私は言語行動以外の行動をメディアとするコミュニケーション「非言語的コミュニケーション」は大きく影響されていると思う。言葉よりも、身振りや手振り表情、あるいは唸り声や叫び声など単純な音声でもより重要な役割を荷っている。

 6月に東箱崎公民館にて行われた子どもとのワークショップに参加した。絵本を幼児に読み上げる保護者が何人いた。まだ言語能力を持っていないお子さんに対して、言語コミュニケーションを育つための共鳴動作に注目した。お母さんとの一体感になって、お母さんが楽しそうな表情をすると、子どもも楽しそうな表情をする。お母さんが悲しそうな表情をすると、子どもも悲しそうな表情をする。このように、目を合わせ、感情を共有するということで、お互いの情報のやり取りができたのである。

特徴二:“五感をフル活用する”

 感性は人間の五感をすべて使って、対象からの情報を受け止める力が強くなる。感性とは総合的な印象である。五感をフルに稼働させ、感受するのだからこそ、人間の5つの感覚器官から感じたモノを心まで伝える(理解する)のである。心で体験して感じ取らないと、自らアウトプットもほぼ不可能とも言えるのだろう。

特徴三:“独特な表現力を持つ”

 人間はそれぞれ独自の観点を持っている。人間もそれぞれ物事に対する理解も違う。感性豊かな人は考えた事だけ表現するのではなく、心で感じ取った事を自分なりの感覚で表現するのである。それが個性であって、世の中に様々な個性が存在するのだからこそ、いまのようなカラフルな世界が出来上がるのである。私は、別府混浴世界(アートコミュニティーイベント)で活躍しているアーティストが集まる集合住宅にお訪ねしたことがある。あそこの人たちは個性やオリジナリティを主張し、自分の色でたくさんの作品を描いでいる。

おわりに

 現代社会での情報化、コンピューター化が進んでしており、人間と人間、人間と自然との五感を通じての直接な触れ合いの現実体験が少なくなる傾向がある。情報化社会におけるコミュニケーションには危機を感じ始めた。日本では、感性をデザインや設計をはじめ、ものづくりなどに活用しようとしている。感性を巧みに取り入れて、問題を解決していくことを目指している。最先端技術を用い、新たなコミュニケーションシステムを作るのか、あるいは、原始的なコミュニケーションに戻るのか、答えはやはり私たち人間にしか持っていない。